トントン。
緩く握った拳で、左胸を2度叩く。
初めてマウンド上で行ったその行為は、幼い頃からずっと追いかけてきた彼がここに立つたびに行っていたルーティーン。


ベンチの隅で。
敵方のブルペンで。
球場の客席から。
ときにはテレビ画面を通じて。
いつだって自分はこの右腕の動きを遠くから眺めていた。
それを何故今になって真似してみようと思ったのか、自分でもわからない。
気づいた時には勝手に腕が動いていた。

どくどくと音を立てていた心臓が、ゆっくりと落ち着きを取り戻していくのがわかる。
(これは確かにリラックスするな……)
もっと早く真似すればよかった。
ふうっとひとつ大きく息を吐きながらそんなことを考えて、思わず頬が緩んだ。



くっと顎を引いて、真正面に在るミットを睨みつける。
それと同時に脳裏に浮かぶのは、様々な顔。
後ろを守るメンバーたち。
共にマウンドを守ってきた投手たち。
ベンチやスタンドにいるチームメイト。指導者たちやマネジたち。
そして。
あの日、抱きかかえられるようにしてグラウンドを後にした彼の姿。



全ての人たちの想いを背負って戦う。そして必ず勝つ。
それがエースだ。
そのために、俺はここにいる。

決意と共にくちびるをぎゅっと噛み締めて。
背中に張り付く背番号1の重みを感じながら、ひときわ大きく息を吸い込んだ。





20090904


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まなたん携帯小説をトウコさんからいただいちゃったんだぜ・・・!!!!
飾っていいですよね!なんて無理を言ったら、もっとすごいものになってプレゼントされちゃったんば!!(自重)
あーもーすごいステキング・・・!!
かっちゃんの癖を真似しちゃう光一郎って可愛いと思いませんか?
だってソレだと分かっちゃうくらい自然に動いちゃうんだぜ。
かっちゃんはソレを見てカーッてなってればいいよ。
トウコさんありがとうございました〜〜〜!!!




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